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第9回目の展示は、トーマス・ノイマン・泉茂・井口直人・小見山峻・山崎由紀子の 5作品を紹介します。

 

私たちは、絵画や写真の「表面(ひょうめん)を見て」、「深く感じ」ます。「見る」ことと「感じる」ことの間にはとても複雑で豊かな関係があります。一方でその仕組みは解き明かされないミステリーのようでもあります。

私たちは作品を見ることから始まりますが、絵や写真の「表面」はまるで「海面」のようであり、私たちは美しい海を眺めると同時に、その海面下には大きく深い世界の気配を感じるのです。

アーティストはその深層で格闘し、独自の方法で表層へと昇華させます。作品の内側には膨大な作家の経験や技術、概念や思索、葛藤が込められているのです。

やがてそれらが作品となった時、その深層は見るもの私たちそれぞれの深層に働きかけるのです。

 

そしてあらためて、私たちは作品を見ることから始まります。

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トーマス・ノイマン

Ishi K02

インクジェットプリント  作品サイズ 1850 × 1400mm

2014年制作

ドイツ出身のトーマス・ノイマン(1975年生まれ)の作品は、日本の「水石(すいせき)」(室内で石を鑑賞する日本の文化・嗜好)をモチーフにしています。拡大され前後にピントを合わせて何層にも合成された小さな石の姿は、大きな崖の壁のようにも見えます。作品をとおして行われる、小さなものから大きなものへの意識の転換、異文化への共感と批評。それはアーティストだからこそ可能にしてくれる旅なのかもしれません。

 

「水石の展示を見たとき、私は石の魅力に気づきました。日本人は水石と呼ばれる石に小さな理想的な風景を見出すことを自らの文化にしました。現代美術家として私はこの文化と美術史的なテーマとをどう接続させるかを考えました。私は逆に小さな水石の中に広い風景が見出せるように撮影しました。自然と人工的なものの間に芸術的な表現を探しました。風景のように見えるこの写真ははたして『風景写真』と言えるのかどうかを考えます。」  トーマス・ノイマン

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小見山 峻

シリーズ「percolation (training)」より、PER-001wall

インクジェットプリント  作品サイズ 2630× 1750mm

2021年制作

小見山峻(1988年生まれ)の写真の画像の歪みは一見デジタルで加工されたように見えますが、撮られた写真とカメラの間に模様ガラスを挟み撮り直すことを繰り返した写真です。作家はそれを「イメージを鍛錬する」と説明し、手作業によって「イメージ(像)とは何か」ということを繰り返し探求しながら更新させてゆきます。ものや情報の輪郭線は崩れ、はじめに撮られた写真はまさに「訓練」し「鍛えられ」、純化されたイメージとなって私たちに届けられます。

 

「刀剣鍛冶の段階における鍛錬は、焼いて叩くという行為を繰り返すことによって、炭素の含有量を調整し不純物を取り除いてゆく。曽祖父以前まで長らく刀匠を務めた自分の血脈に準え、一枚の写真に対し、焼いて(プリント)叩く(アナログによるテクスチャの追加)を繰り返すことにより、記憶の中から不純物を取り除こうとした。水質を濾過し、より身体に浸透するように願いを込めて。」 

小見山峻

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井口 直人

コピー

紙にレーザープリント 作品サイズ 364 × 257mm

2020年制作

井口直人(1971年生まれ)の作品は、コンビニエンスストアなどのコピー機で自身の姿や雑貨を直接コピーした作品です。この行為は20年近く毎日繰り返され、意識的に、そして同時に即興性を持って素早く行われます。インパクトとユーモラスを持って生み出された表現はあらゆるものを飛び越して、確立されたスタイルと洗練さを持った作品となって私たちに訴えかけます

 

「11時50分。事務所の複合機で「コピー」は作られます。缶つぶし作業で集めたクリアアサヒの応募シール、訪問客、お気に入りのスタッフ、旬の俳優の写真などをその時の気分で一緒に取り入れ即興で作品は生まれます。生まれた作品の偶然性に射幸心(なのか?)を感じつつ、退勤後の最寄のコンビニでの次の『コピー』の構想を考えます。」  社会福祉法人さふらん会 水上明彦

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山崎 由紀子

woman

photoshopデータ 作品サイズ 2630 × 2630mm

2021年制作

山崎由紀子(1998年生まれ)の作品は、世界中にある散らばったイメージ、形や色、情報の断片を画面上で再構成した作品です。画像やプリントからつくり直されたイメージは時には異なる大きさで、時には手描きやデジタルプリントなど違う方法で作品になります。作家の行う「解体」と「再構築」は、イメージにとどまらず、同時にメディア(手段)やマテリアル(材質)にもおよびます。

 

「インターネットから画像を収集し、それをパソコン上でコラージュして再構成した作品を作っています。この作品は2021年に実際に手描きのキャンバスの作品としてもアウトプットしましたが、今回はデジタル出力で大きな壁面に貼り出すことで、また違った印象になるのがおもしろいなと思います。」

山崎由紀子

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泉 茂

(ドローイング)

紙にインク 作品サイズ 663 x 502mm ※縦横・天地可変

1966年頃制作

泉茂(1922年生まれ、1995年没)の約55年前に制作された本作品は、いわゆる正式な「作品」ではなく、作家の思索の中で生まれた習作の一つです。作者の多様な作品スタイルが生み出される地盤となるこの絵は、作家の画面の更新への果敢な挑戦とドローイングとして直接的に定着された人間的な試行錯誤が、「いまの言葉」として新しい世代への強いメッセージとなり、過去から現在へと時をこえて接続します。

 

「パリ滞在中の1960年代後半から帰国直後の70年代初頭にかけて、同時期の油彩や版画作品のためのエスキースとして、膨大な数のドローイングを描き残していた中の1枚です。当時の主題であった自らのストローク(筆跡)を丁寧に観察し、それを拡大・縮小、回転、トリミング、形象の単純化などを自筆で幾度と繰り返して、泉が理想的な画面を探究した過程が垣間見られるものです。」 
the three konohana、Yoshimi Arts