第6回目の展示は、松田豊美さん・林勇気さん・張騰遠さん・阿部海太さんの4 作品を紹介します。

アーティストは時として今あるこの世界を外側から捉えます。自分は何者か? 今ある現実の形は? 真実とは何か? ということを探るために作家は世界の外側に自分の視点を置きます。時には真摯に、時にはユーモラスに、そして愛情を持って捉えた一つの世界の姿は、私たちの今に一粒の気づきや希望を与えてくれるかもしれません。

松田 豊美   「The very thing 」

2019 年制作  作品サイズ:455 × 530mm

キャンバスに油彩

松田豊美さん(まつだとよみ・1970 年生まれ)は、キャンバスと向き合い、その時その時の感覚で一筆おき、それに反応して次の一筆をおくということを繰り返し作品を構築します。

積み上げられてゆくイメージは、作家自身の日常や人生の様々な要因が無意識のうちに反映され、同時に画面から生まれた世界を作家は静かに眺めます。

画面との対話を眺める、という行為を通して描かれた表現は強いリアリティーに溢れています。

「油絵の具の偶然とひらめき/頭の中でイメージしたものを描き表す作業では無く/瞬時に浮かんだそこに置きたい絵の具を作り、描く/私が生きていて見ている世界/天と地 空気 空間 水 風 音 光、、、などの体感が/自然と画面に出てい

るのではないかと思う/何かに見える ではなく/ “そのもの” を観たい 観せたい/私が観たい空間を描いている」と、作者は自身の絵を振り返ります。

林 勇気  another world 002- extra edition, Ibarakishi」

2020 年制作  時間可変・内容更新

インターネット内映像作品

「2014 年に制作した『another world 002』の茨木市の特別バージョン。公募をして提供してもらった写真が無数に浮遊する映像作品で、インターネット上に保存されている膨大な量の画像データを可視化しようと考えている。QR コード

をひとつの窓としてとらえ、そこから『もうひとつの世界』を覗き見ることができる。」

林勇気さん(はやしゆうき・1976 年生まれ)のデジタルで生成されたバーチャルなイメージは、みる者にとってはるか彼方の異世界ではなく、まるで新しく生み出された記憶のように個人の感情や感覚に迫ります。

作家は本プロジェクトの可能性を広げ、新たなアートとの出会いのあり方を提示します。みる者にQR コードを通して入り込むことを求める作品は、現代における様々な環境とシステムを駆使しながら、作者は鑑賞者との新しいコミュニ

ケーションを模索しているのではないでしょうか。

今回、SOU では初めて映像作品を紹介することを試み、鑑賞者が画面のQR コードを読み取ることで映像作品が鑑賞できます。映像は展示期間中更新され、新たな作品が生み出され続けます。

注意:QR コードの撮影の際には、点字ブロックの上に立ち止まらないでください。

張 騰遠 Chang Teng-Yuan  

Simulator - The Right Place of Performing Thigh Dance / 模擬器 - 跳大腿舞的正確地點 」

2015 年制作  作品サイズ:370 × 450mm

キャンバスにアクリル

地球の終わりが世界の終わりであることが知られていますが、パロットマンが知りたいのは、人類はその時、いかなる選択をしたのか?ということです」

台湾のアーティスト、張騰遠さん(チャン・テンユァン・1983 年生まれ)は、パロットマン(オウムマン)という架空のキャラクターを設定し、世界が滅びた100 万年後から人類を俯瞰し、その眼差しは今を生きる私たちをシニカルに見つめます。

不穏な空気とユーモラスさを併せ持つ作品は、私たちが普段考えることもないひとつひとつの日常や行動にどんな意味があるのかを改めて意識させます。

「パロットマンは終末後の地球に到着し、人類の行為を模倣することを通して、人類とその文明が消滅した原因を探索しました。この作品において、グロテスクな色合いは世界の終わりの風景を描き出し、パロットマンたちは人間を模倣して太ももダンスを踊っています。パロットマンにとって太ももダンスは、人類が宇宙とコミュニケーションする方法の一つとして考えているようです。」

阿部 海太  「春」

2020 年制作  作品サイズ:456 × 606mm

パネルに油彩

阿部海太さん(あべかいた・1986 年生まれ)の作品は、描かれている人物や動物、景色などが複雑な色の重なりによって溶け合い、まるでこの世にある全てのものが等しく扱われているかのようです。滑らかに浸透するイメージは、時々夢で見る曖昧な輪郭線の世界に似ているからかもしれません。

優しい色使いと柔らかな形は、切り取られた画面の外側にも広がる世界の続きを感じさせ、あらゆるものの時の流れから自由にさせてくれるようです。

作家は作品について、「2020 年4 月。コロナ禍における自粛期間中、来る日も来る日も借家の小さな庭を眺めていた。花が咲き、蝶が飛び交い、トカゲが柔らかい若草の合間から顔を出した。人の社会の混乱をよそに、生き物たちが春を存分に謳歌する様を見て、生きるということはどういうことかと自問しながら絵を描いたあの日々を忘れずにいたい。」語ります。

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