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やさしい贈り物
SOU JR-Sojiji Station Art Project
第2回展示
2018年9月30日ー2019年3月30日

今回の展示では「やさしい贈り物」と名付け、緩やかな時の流れとともに、大切な人を想う温かな気持ちや優しいことばが届くような作品をテーマとしています。岩田さんが描く水玉模様の空間とバイオリンの音、冨倉さんが描くドレープ状の柔らかなフォルムと色彩、三宅さんが描くベールに包まれた画面と可愛らしい浮遊物、小学生が描く生き生きとした花たち。それらが「やさしい贈り物」となって伝わるでしょう。

 

第2回目の展示は、岩田小龍さん・冨倉崇嗣さん・三宅砂織さんと茨木市在住の小学生27人の作品を紹介します。

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岩田小龍  「a violinist」
2016年制作 縦30.5 × 横40.6 cm(実作品サイズ)

キャンバスにアクリル

岩田小龍さん(いわたこたつ・1974年生まれ)は、アメリカンポップアートに憧れてニューヨークに移住し、アーティスト活動を始めました。有名なキャラクター、身近な商品や花、風景などを描いています。 「この絵はコンサートのポスターに使用するための原画です。モデルはヴァイオリン奏者の鎌田泉さんです。描いたのは5月初旬です。長い冬が終わりつかのまの春がニューヨークに訪れた時期でした。そんな気分が淡いグリーンのドレスにカラフルな水滴を描かせた記憶があります。」と、岩田さんは振り返ります。描かれた水滴がエッセンスとなり、スタイリッシュな中にも、彩度を下げた色調はどこか哀愁と温もりを感じさせる作品です。

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冨倉崇嗣 「山にソファ」

2009年制作 縦80.3 × 横100.0cm(実作品イメージサイズ)

キャンバスに油彩、アクリル

冨倉崇嗣さん(とみくらたかし・1979年生まれ)は、夢の断片をひろいあげるような独自の世界観を描いてきました。作品からは物語性が感じられ、それはまるで絵本の1ページを見ているようです。柔らかな心地よい空気感の中にも、にじみ出たようなイメージの奥には怖さも潜んでいるような不思議な感覚にさせられます。 「私は既視感を感じるような具象的な光景を選択し、よく意識的に解体したり、イメージの境界線をずらしたりしますが、それは、新たな世界、感覚を創出するきっかけがあると考えているからです。そのきっかけに気付けるかどうかが、私の制作において重要な意味をなしています。」と語る冨倉さんの作品は、関連性がないと思われるモチーフを単純化されたフォルムと色彩によって巧妙に組み合わせ、具象と抽象の間を軽やかに行き来します。

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三宅砂織「リビングスペース」(部分)

2011年制作 縦38.6 × 横53.2 cm(実作品サイズ)

ゼラチンシルバープリント

三宅砂織さん(みやけさおり・1975年生まれ)の作品は、身近な日常の情景をモチーフとして扱いつつ、観る者それぞれに不思議な時間と空間の美しい重なりを与えてくれます。絵のような写真のようなモノクロームの作品は、どのような技法で作られているのかという疑問を抱かせます。 作者によると「絵の影を直接印画紙にプリントする、独特なフォトグラムの手法により作品を制作しています。画像を見る経験をめぐる記憶と物語性に関心を寄せ、影、まなざし、存在の複数性などをテーマに絵画的な観点からの思索を試みています。」 それは身体性を光によって定着させた「描かれた写真」というべきものかもしれません。

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「花の詩(はなのうた)」(左)

「花の歌(はなのうた)」(右)

2018年制作 紙にポスターカラー、マーカー

阿部紗花・今川悠・植田めりあ・梅田さつき・梅田ちづる・小松樹・佐橋美羽・佐橋亮哉・高尾勇矢・高尾有良・立川航太郎・田中奏多・戸田帆夏・兵江那々緒・福与実乃里・松井唯人・松田宝・宮崎浩一・森島小晴・森本真彩・森本真依・他6名 (五十音順)

この作品は、茨木市在住の小学生27人の作品で構成されています。2018年度夏休みの「茨木こども芸術文化講座」として実施されたワークショップ「オンリー One! 自分だけの花を描こう」で、描かれた作品です。1人2種類の花を自由に想像しました。きれいな花、かっこいい花、優しい花、ユニークな花、強そうな花、それぞれ素敵な54輪の花が生まれました。この全ての花をOne Art projectが2つの画面いっぱいに構成しました。子どもたちの自由な想像力が画面から溢れ出しそうです。 皆さんの心にこの花々が“うた”のようにリズムに乗って届きますように。

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